今回は、「贈与と贈与税」を取り上げる。過去問で問われたポイントをみていこう。
贈与契約
- 当事者の一方(贈与者)の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方(受遺者)がそれを受諾することによって成立する片務・諾成契約である。
- 書面によらない贈与は、履行前であればいつでも解除することができる。原則として、履行後に解除することはできない。
贈与の種類
贈与の種類 | 内容 |
---|---|
定期贈与 | ・定期の給付を目的とする贈与 ・贈与者または受遺者が死亡した場合効力が失う。 |
負担付贈与 | ・受遺者に一定の債務を負わせる贈与 ・受贈者が債務を履行しない場合は贈与者は負担付贈与契約を解除できる。 |
死因贈与 | ・贈与者の死亡により効力を生じる贈与 ・贈与者が生きている間に受贈者との間で締結される契約である。 ・その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用される。 |
贈与税の納税義務者
原則として贈与により財産を取得した個人。納税義務者の住所地、日本国籍の有無などにより、課税範囲が異なる。
贈与税の課税財産
本来の贈与財産
贈与によって取得した金銭に見積もることができる経済的価値のある財産すべて。
みなし贈与財産(贈与によって取得した財産ではないが、実質的に贈与と同様の性質をもち、贈与税が課税される財産)
- 保険金・・保険料負担者以外の者が保険金を受け取った場合(みなし相続財産となるものを除く)
- 低額譲渡・・適正な時価と比べて著しく低い価額で財産の譲渡が行われた場合の差額
- 債務免除・・債務免除や肩代わりを受けた金額(弁済不能な場合の債務免除は贈与税の課税対象外)
贈与税の非課税財産
- 法人から贈与を受けた財産(所得税・住民税の課税対象)
- 扶養義務者からの通常必要と認められる生活費・教育費
- 相続または遺贈により財産を取得した者がその被相続人から相続開始年に贈与を受けた財産(相続税の対象)
- 離婚時の財産分与請求権に基づく分与財産(婚姻中の夫婦の協力によって得た財産)
それでは、これまで見てきたポイントを過去問で確認してみよう。
過去問にチャレンジ
問題 51
贈与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.民法上、贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることにより効力が生じる。
2.民法上、書面によらない贈与は、いまだその履行がなされていない場合であっても、各当事者がこれを解除することはできない。
3.相続税法上、書面によらない贈与における財産の取得時期は、原則として、その履行の有無にかかわらず、受贈者が当該贈与を受ける意思表示をした時とされている。
4.相続税法上、個人の債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難になり、その債務の免除を受けた場合、債務免除益のうち債務を弁済することが困難である部分についても、贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。
2022年9月試験 2級学科試験
1 正しい
2 書面によらない贈与は、履行前であればいつでも解除することができる。
3 履行が完了したとき。
4 弁済不能な場合の債務免除は贈与税の課税対象外である。
(参考文献)’22~’23年版 最短合格2級FP技能士(きんざい)、史上最強のFP2級AFPテキスト22-23年版(ナツメ社 )、うかる! FP2級・AFP 王道テキスト 2022-2023年版 (日本経済新聞出版)