今回のテーマは、「特定贈与信託契約」でもある。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問42》
《問42》 特定贈与信託契約(特定障害者扶養信託契約)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 特定贈与信託契約では、委託者以外の1人の特定障害者を信託の利益の全部についての受益者としなければならない。
2) 特定贈与信託契約は、当該信託の期間および受益者を変更することはできないが、取り消すことまたは合意によって終了することはできる。
3) 特定贈与信託契約は、委託者が拠出する信託財産について、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円を限度に贈与税が非課税とされる。
4) 身体障害者手帳に身体上の障害の程度が2級である者として記載されている者は、特定贈与信託契約の特別障害者に該当する。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
1 正しい。
特定障害者扶養信託契約とは、個人が受託者と締結した金銭、有価証券その他の財産で政令で定めるものの信託に関する契約で、当該個人以外の一人の特定障害者を信託の利益の全部についての受益者とするもののうち、当該契約に基づく信託が当該特定障害者の死亡の日に終了することとされていることその他の政令で定める要件を備えたものをいう。(相続税法21条の4第2項)
2 誤り。
特定障害者扶養信託契約の主な要件
- 当該特定障害者扶養信託契約に基づく信託は、当該特定障害者扶養信託契約の締結の際における当該信託の受益者である特定障害者の死亡の日に終了することとされていること。
- 当該特定障害者扶養信託契約に、当該特定障害者扶養信託契約に基づく信託は、取消し又は合意による終了ができず、かつ、当該信託の期間及び当該特定障害者扶養信託契約に係る受益者は変更することができない旨の定めがあること。
(相続税法施行令4条の12)
3 正しい。
特定贈与信託契約は、委託者が拠出する信託財産について、受益者が特別障害者の場合は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者の場合は3,000万円を限度に贈与税が非課税とされる。(相続税法21条の4第1項)
4 正しい。
身体障害者手帳に身体上の障害の程度が2級である者として記載されている者は、特定贈与信託契約の特別障害者に該当する。
(相続税法施行令4条の8)