今回のテーマは、「各種債券の一般的な商品性」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問17》
《問17》 各種債券の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 他社株転換可能債(EB)は、満期償還前の判定日に債券の発行者とは異なる会社の株式(対象株式)の株価が発行時に決められた価格を下回ると、金銭での償還ではなく、対象株式が交付される債券であり、投資家が償還方法を任意に選択することはできない。
2) 早期償還条項が付いている株価指数連動債(リンク債)は、参照する株価指数の変動によって満期償還日よりも前に償還されることがあるが、償還金額が額面金額を下回ることはない。
3) ストリップス債は、金利スワップを組み込むことでクーポンが市場金利と逆方向に変動するように設計された債券であり、市場金利が上昇すると受け取る金利が減少する。
4) 一般に、払込みと償還が円貨で行われ、利払いが米ドル等の外貨で行われる債券はデュアルカレンシー債と呼ばれ、払込みと利払いが円貨で行われ、償還が米ドル等の外貨で行われる債券はリバース・デュアルカレンシー債と呼ばれる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)
それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。
1 正しい。
他社株転換可能債(EB)は、満期償還前の判定日に債券の発行者とは異なる会社の株式(対象株式)の株価が発行時に決められた価格を下回ると、金銭での償還ではなく、対象株式が交付される債券であり、投資家が償還方法を任意に選択することはできない。
2 誤り。
早期償還条項が付いている株価指数連動債(リンク債)は、参照する株価指数の変動によって満期償還日よりも前に償還されることがあり、償還金額が額面金額を下回ることもある。
3 誤り。
ストリップス債
利付債の元本部分とクーポン(利息)部分が分離され、それぞれの部分がゼロクーポンの割引債として販売される債券をいう。
(参考)ストリップス債・SMBC日興証券のWebサイト
なお、本肢の記述は、リバース・フローター債である。
4 誤り。
デュアルカレンシー債
払込みと利払いが円貨で行われ、償還が米ドル等の外貨で行われる債券
リバース・デュアルカレンシー債
払込みと償還が円貨で行われ、利払いが米ドル等の外貨で行われる債券
本肢の説明は逆となっている。