今回のテーマは、「借地借家法(借地権)」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題44

問題 44
借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権といい、第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。

1.普通借地権の設定契約において、期間の定めがないときは、存続期間は30年とされる。
2.普通借地権の存続期間が満了した時点で借地上に建物が存在しない場合は、借地権者が契約の更新を請求しても、従前の契約と同一の条件で契約が更新されたものとはみなされない。
3.一般定期借地権の設定契約において、存続期間は30年とすることができる。
4.一般定期借地権の設定契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2023年9月10日実施)

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。
2023年9月実施の問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

なお、本テーマについては、これまでにも取り上げている。↓

1 正しい。

借地権とは、建物所有を目的とする土地の地上権または賃借権のことをいう。
借地権は、普通借地権と定期借地権に大別される。

普通借地権は、存続期間は30年以上となっている。
期間の定めのない場合や30年より短い期間を定めた場合、存続期間は30年である
地主と借地人が合意すれば、30年を超える期間を定めることも可能である。

2 正しい。

普通借地権とは
建物の所有を目的とする借地権で、定期借地権以外のものをいう。借地上の建物の用途には居住用、事業用の制限はない。なお、存続期間は30年以上で定める。

なお、期間満了時に建物がある場合は、原則、同一条件で更新される。(借地借家法5条)

3 誤り。

一般定期借地権の存続期間は、50年以上としなければならない。(借地借家法22条)

定期借地権とは
契約の更新がない借地権である。一般定期借地権、事業用定期借地権等、建物譲渡特約付借地権の3種類がある。

一般定期借地権事業用定期借地権等建物譲渡特約付借地権
存続期間50年以上10年以上50年未満30年以上
利用目的制限なし事業用建物のみ制限なし
契約方法公正証書による書面公正証書に限る制限なし
契約更新更新なし更新なし更新なし
建物買取請求権なしなし※2あり
返還方法更地で返還(原則)更地で返還(原則)建物付きで返還
※1 事業用定期借地権等の存続期間は、10年以上30年未満(事業用借地権)と、30年以上50年未満(事業用定期借地権)がある。
※2 事業用定期借地権の場合、特約を付ける。

4 正しい。

一般定期借地権の設定契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。