今回のテーマは、「外貨建て金融商品の取引等」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)《問19》

《問19》 個人(居住者)が国内の金融機関等を通じて行う外貨建て金融商品の取引等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 外貨建て金融商品の取引に係る為替手数料の料率は、同一の外貨を対象にする場合であっても、取扱金融機関により異なることがある。
2) 国外の証券取引所に上場している外国株式を、国内店頭取引により売買する場合、外国証券取引口座を開設する必要がある。
3) 米ドル建て債券を保有している場合、為替レートが円安・米ドル高に変動することは、当該債券に係る円換算の投資利回りの上昇要因となる。
4) 外国為替証拠金取引では、証拠金にあらかじめ決められた倍率を乗じた金額まで売買することができるが、その倍率は法令により10倍が上限と定められている。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2023年9月10日実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

外貨建て金融商品の取引に係る為替手数料の料率は、同一の外貨を対象にする場合であっても、取扱金融機関により異なることがある

2 正しい。

国外の証券取引所に上場している外国株式を、国内店頭取引により売買する場合、外国証券取引口座を開設する必要がある

3 正しい。

米ドル建て債券を保有している場合、為替レートが円安・米ドル高に変動することは、円換算で為替差益が発生する。

したがって、当該債券に係る円換算の投資利回り上昇要因となる。

4 誤り。

外国為替証拠金取引(FX取引)は、証拠金を差し入れて、日本円と米ドルなど、2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品である。

FX取引は、少額の資金で取引が始められ、投資金額に比べて大きな額の取引を行うことができる。資金効率が良い取引である反面、証拠金以上の損失が生じるおそれがあり、元本も利益も保証されない取引である。

このように、FX取引は高いリスクを伴うことから、投資者保護のためのいくつかのルールが設けられている。

その一つが、証拠金制度(レバレッジ制限)である。レバレッジとは預け入れの証拠金額に対して何倍の取引ができるかということであり、個人が店頭FX取引を行う際は、通貨ペアの種類を問わず、取引金額に対して4%以上の証拠金を差し入れ、維持する必要がある(レバレッジに換算すると25倍以下となる。)。