今回のテーマは、「タックスプランニング」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年9月10日実施)【第1問】(16)~(20)

【第1問】 次の各文章((16)~(20))を読んで、正しいものまたは適切なものには〇で、誤っているものまたは不適切なものには✖で答えなさい。

(16) 電車・バス等の交通機関を利用して通勤している給与所得者が、勤務先から受ける通勤手当は、所得税法上、月額10万円を限度に非課税とされる。
(17) 確定拠出年金の個人型年金の老齢給付金を全額一時金で受け取った場合、当該老齢給付金は、一時所得として所得税の課税対象となる。
(18) セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の対象となるスイッチOTC医薬品等の購入費を支払った場合、その購入費用の全額を所得税の医療費控除として総所得金額等から控除することができる。
(19) 上場不動産投資信託( J-REIT)の分配金は、確定申告をすることにより所得税の配当控除の適用を受けることができる。
(20) 給与所得者のうち、その年中に支払を受けるべき給与の収入金額が1,000万円を超える者は、所得税の確定申告をしなければならない。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2023年9月10日実施)

【注】問題指示文一部改変。

それでは、各肢を検討していこう。
2023年9月実施の問題は、2023年4月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は2023年10月1日現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

16 ✖

電車やバス等の交通機関や有料道路を利用して通勤している給与所得者の通勤手当は、合理的な運賃等の額で、月額15万円を上限に非課税とされる。

(関連)FP1級の過去問を解こう(2023年5月)「所得税の非課税所得」

17 ✖

確定拠出年金とは、掛金額(拠出額)はあらかじめ決まっているものの、将来の給付額が運用実績によって変動する年金である。個人が掛金を拠出する個人型年金(iDeco)と、企業が企業年金として導入する企業型年金がある。

老齢給付金を一時金として受け取った場合、退職所得となり、退職所得控除の対象となる
なお、年金として受け取った場合、雑所得となり、公的年金等控除の対象となる。

(関連)FPトピックス(確定拠出年金)

18 ✖

セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)とは
自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の特定一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品等)の購入費を支払った場合、一定の健康診査や予防接種などを行っているときは、通常の医療費控除との選択により、その年中の特定一般用医薬品等の購入費の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除く。)のうち、12,000円を超える部分の金額(88,000円を限度)を控除額とすることができる。(2017年1月1日から2026年12月31日までの間の購入)

(関連)FP2級の過去問を解こう(2023年5月)「所得控除」

19 ✖

上場不動産投資信託( J-REIT)の分配金は、配当控除の対象にならない

20 ✖

給与所得者で「確定申告」が必要なケース(年末調整の対象にならない)
なお、確定申告をすれば税金が還付される人は除く。

  • 年間給与等の収入額が2,000万円を超える者
  • 1か所から給与等を受けている者で、給与所得および退職所得以外の所得金額(雑所得等)が20万円を超える場合
  • 2か所以上から給与等を受けている者で一定の要件に該当する場合 

など。

(関連)FP2級の過去問を解いてみよう(所得税の申告と納付)